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定額でAIが使い放題だった「ボーナスタイム」が終わる話

この記事は、私が音声で話した内容をAIに書き起こし、読みやすく整理してもらったものです。

OpenAIやClaudeを提供するAnthropicといったAI企業のサブスクリプションサービスの行く末について、いま考えていることをまとめてみます。

定額でAIを使い放題にできた「ボーナスタイム」の終わり

結論から言うと、この1年ほど続いていた「個人のニーズをほぼ満たす、あるいはそれをはるかに上回るようなAI利用が定額でできる」というボーナスタイムのような時代は、今年で終わるのではないかと考えています。

前向きに捉えれば、この波に乗ってAIを定額で使い放題にできたことは、本当に幸運でした。一方で、使い放題の環境が当たり前になりすぎて、コスト意識が希薄なまま来年を迎えてしまうと、厳しい状況に直面する可能性が高いとも感じています。

直近の1年あまりの期間で何より有益だったのは、AIの挙動やハーネスの構築、コンテキストコンパクションの意味、そしてそれらが日々の作業効率にどれだけのインパクトを与えるのかを、実際に手を動かして納得いくまで確かめられたことです。これは貴重な経験でした。

ただ、その一方で考えなければならないのは、AI企業がどちらを向いてビジネスを展開しているのかという点です。

AI企業の収益構造を考えると、今後は大きく二極化していくと見ています。ひとつは、軽量モデルを中心とした一般コンシューマー向けのToCビジネス。もうひとつは、重量級モデルを従量課金で提供するエンタープライズ向けのビジネスです。市場はこのふたつに分かれていくでしょう。

個人向けに100ドル程度でフロンティアモデルを使い放題にするようなプランを、今後もマーケティング目的で提供する会社がゼロだとは言いません。しかし、それが主力事業になっていくことは考えにくいのが現実です。少なくともAI企業にとって、利益の出るビジネスモデルではないからです。

組織の規模によって分かれるAIとの付き合い方

どのような組織に所属しているか、あるいはどのような収益構造のもとでAIを価値に変えているかによって状況は異なるため、万人共通の正解があるわけではありません。

たとえば、ごく小規模な組織であれば、引き続き個人向けに提供されるマーケティング予算込みのサブスクリプションをうまく組み合わせて使う方法も、選択肢として残るはずです。個人の戦い方としても、当面はこのやり方が通用するでしょう。

しかし、一定以上の事業収益を上げており、AI企業から見て「まさに草刈り場で、ここで稼がなければどこで稼ぐのか」と位置づけられるような規模の組織では、定額サブスクリプションをあてにすること自体が現実的ではなくなっていくと考えています。

そうなった場合の影響は、いくつか考えられます。まず大きな組織では、AIを使いこなす人が定額で存分に利用することができなくなります。従量課金が前提となれば、本気でAIを活用した場合、現在の私の肌感覚では月40万円から60万円ほどの予算が必要になってくるでしょう。

その際、果たしてその金額が組織内で正当化できるのかという問題が生じます。毎月それだけの予算を投じるに見合う成果を出せているのか、周囲や経営陣に対して説明を求められる場面が必ず出てきます。

新しくAIを学ぶ人にとっての壁と、今急ぐべき理由

もうひとつ、さらに大きな問題だと感じるのは、これまでAIを十分に活用できてこなかった人たちへの影響です。社内には当然、これから新しくAIを学ぼうとしている段階の人も多くいます。

そうした人たちが使い方を身につけようとするとき、最初から従量課金の世界に放り込まれてしまうと、学習のハードルが極めて高くなってしまいます。

たとえば、初心者が試行錯誤しながらプロンプトを投げてみたときに、「いまの操作に5ドルかかりました」と言われてしまうような状況です。毎回コストを突きつけられては萎縮してしまい、思い切った試行錯誤ができず、学習を進めること自体が難しくなるはずです。

だからこそ、いまは一刻を争う時期だと捉えています。定額で自由に触れるいまのうちに、とにかく組織の人たちにAIへ慣れてもらうしかありません。

使い放題の環境が完全になくなってから、ゼロの状態で組織に「AIネイティブ」な仕事の進め方を根づかせようとしても、コスト面からも心理面からも相当な困難が伴うはずです。

従量課金時代におけるコスト最適化とエンジニアの評価

別の視点として、本格的に従量課金が前提となると、エンジニアの評価と利用予算の正当化をしっかり行わなければならなくなります。

成果を細かく測定するかどうかは別としても、「対象期間にソフトウェアエンジニアとしてどのようなパフォーマンスを発揮したのか」という基本的な評価と、実際に消費したAI予算とのバランスを説明することが求められていくはずです。

それと同時に、少ない予算で大きな成果を出すテクニックが決定的に重要になります。現実的には、ここが日々の生産性に最も直結する部分になるでしょう。

具体的には、次のようなコスト最適化の取り組みを地道に進める必要があります。

  • なんでも最上位モデルを使うのではなく、軽量なモデルを積極的に活用する
  • 用途やタスクの内容によってモデルを柔軟に使い分ける
  • モデルを適切に振り分けるルーターのような仕組みを開発・導入する
  • 特定のベンダーに縛られず、プラットフォームを使い分ける

コストを抑えながらやるべき作業をひとつずつ着実にこなす姿勢は、来年以降のAI活用において極めて重要なエンジニアリングスキルになるはずです。

組織側としても、単にツールを使わせるだけでなく、そうしたコスト最適化の工夫を通じて成果を出している人を適切に評価しなければなりません。そこを正当に評価できなければ、無駄なコストばかりがかさみ、期待した成果が得られないという結果に終わってしまうのではないでしょうか。