誰でもCodex CLIでアーカイブサイトが作れる時代
/special/mirrativ_event を支える技術選定と運用フロー。TOMLによるデータ管理、Astro Content Collections、AIヘビーなクレンジング+厳格なバリデーションで“人手の最終判断”を残す設計。



Codex CLIで誰でも“作れる”アーカイブサイト
Mirrativのイベントをひと目でたどれるビジュアルアーカイブを、Codex CLIだけで組み上げました。週末の短い時間で、データ定義・UI・OGP・デプロイまでをノーコードでつなぎ込むデモです。コードはAIが生成し、stakme本人は一行もタイプしていません。
まず体験から。ページを開くとイベントのビジュアルがタイル状に並び、どれかをタップするとモーダルで詳細が立ち上がります。長めの本文でも画面内で自然にスクロールでき、共有ボタンは常に https://stak.me/special/mirrativ_event/<id>/
の正規URLを添えます。SNSのプレビューは崩れず、表示は高速。すべて静的ビルドだからこその安定感です。
設計の核は「一件=一TOML」。日本語や絵文字を含む本文を崩さず保持でき、改行もそのまま。公開側ではAstroのコンテンツ機能で型を与え、欠損や不正値はビルド時に止めます。タイトル、日付、タグ、本文の逐語抜粋と全文、画像はIDで紐づいた別ファイル。テキストと画像を分けることで、差分レビューが読みやすく、更新が安全になります。タグの語彙は絞り込みや横断分析を意識して限定し、検索性と一貫性を両立させています。
AIは“集めて整える”役割に徹します。公開Webから投稿を代理取得し、ノイズを取り除き、画像URLを正規化して中間テキストを作る。公開値の確定は人が行い、逐語のdescription
を決め、分類タグを選びます。最後に自動検証が待っており、抜粋の各行が中間テキストに実際に含まれているかをチェック。要約や改変はそこで弾かれます。AIの速度と人の確実性を、役割で切り分けたワークフローです。
UIは見やすさ最優先。グリッドの一覧からArk UIベースのモーダルへ。縦はビューポート内でスクロールし、横長の画像は横長レイアウト、それ以外は固定アスペクトで自然にトリミング。OGPはビルド時に1200×630へ変換し、上側を優先して切り出すtop‑cropを採用しました。人物やタイトルが欠けにくく、SNSカードの見え方が揃います。画像の最適化はすべてビルド時に完了し、配信はCloudflare Pagesの静的サイトとして行います。
なぜTOMLか——多行テキストの扱いやすさ、差分の読みやすさ、そして「一件=一ファイル」という規律が、プロンプト駆動の開発と相性が良いからです。Astroの型検証と組み合わせれば、入力ミスはビルド段階で発見できます。ノーコードといっても、設計意図と制約を“先に文章で決める”ことが品質を左右します。そのための器として、TOMLはちょうどいい選択でした。
Codex CLIでの体験は、プロンプトで構成管理を進める感覚に近いものです。意図と制約を伝えれば、AIがファイルやUIを生成し、人が公開値を確定する。技術知識ゼロではありませんが、コードを書かずに“動くもの”へ到達するハードルは大きく下がります。社内のIPイベントやSNS施策のアーカイブを継続運用したいチームにとって、すぐに戦力になる現実解です。検索やタグナビ、変化点の可視化、他プラットフォーム統合など、次の一手も素直に見えてきます。
AIが実装を、TOMLが確定を、ビルドが配信を担う。簡素なレールの上で、想像以上に遠くまで進める——今回のアーカイブは、その手触りを伝えるためのサンプルでもあります。


