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AI活用組織は「一人」になる

· 約6分

私の身近には、信頼を置いているエンジニアやアナリスト、プロダクトマネージャーが何人かいます。その中でも、特にAIを活用している人と話したり、彼らの話を人づてに聞いたりすることがあります。そうした情報を通じて確信したことがあります。そうした人たちの意見には、ほとんど全員が同意していると言っていい共通点があるのです。

それは一言で言って、会社や組織が何も働きかけなければ、AIを活用する組織は一人になる、なぜならそれが一番効率的だから、という未来の予測です。

つまり、ただ一人の人間がすべてを把握し、AIのトークンを燃やしながら、あらゆるタスクを実行する体制に行き着くということです。もちろん、実際の会社が本当に一人だけの組織をそのまま受け入れるとは限りませんし、そうならないケースの方が多いとは思います。一人きりでは組織の継続性に問題がありますし、雇用や労働をはじめとするさまざまな観点で好ましくないでしょう。そのため「二人にしよう、いや三人にしよう」といった働きかけが行われ、結果としてひとりにはならないことが多いでしょう。

ただ、仮にそうした働きかけがなければ、ただ一人の人間がすべてを統治する体制への収束は避けられないと思われます。

入口では仕事が増え、出口では組織が変わる

組織が一人になるということは、別の言い方をすることもできます。それはつまりAIについて探求し、最初に支配を形成した労働者が、ほかの人間の仕事を取ってしまうということです。まあ仕事をとってしまうと言っても、その人たちが失業するとは限らないですけどね。組織変更になったり、別の場所へ異動したりするかもしれません。

ともかく。AIによって仕事を効率化すると、最初のうちは、その人の仕事がかえって増えていくでしょう。AIを試し、フィードバックし、活用できる範囲を広げるほど、より多くの仕事が集まってくる。これはつらいですね。しかし、それは入口にすぎないわけです。

その先にある出口は何か?それは、どんな仕事も無限ではないということです。あらゆる手近な仕事がその人とAIに集約されたなら、その組織にほかの労働は要らなくなるわけです。

マジックナンバーは7人

ここから先は私の想像になりますが、一人の人間が実装の現場まで統治を行き届かせ、全体を見切れる範囲は、およそ七人なのだと思っています。自分自身と、マネジメントしている三人のチーム二つ。合わせて七人ですね。

現代のAIは、このくらいの範囲で行われていた仕事を、すでに一人の監督のもと置き換えられるところまで来ているように感じています。つまり六人の部下を見ているマネージャーが、現場のスタッフをすべて取り払い、AIに置き換える。それが少なくとも物理的には可能だと感じられるのが、現状なのかなと。

レビュー文化は崩壊する

ここまでの予測を前提に、さらにいくつか定性的、あるいは定量的に予想していることがあります。その一つが、レビュー文化はまったく崩壊するだろう、ということです。

レビューには、大きく三つの意味があったと私は考えています。一つ目は、本番サービスの最後の砦であること。二つ目は、知識共有の場であること。そして三つ目が、言語化できない要素を共有することです。

すべての業務ルールは、究極的には言語化してドキュメントにできるのかもしれません。でも実際には、そこまで至らないものがたくさんあります。このくらいが自分たちの仕事の切り上げ方だよね。自分たちが仕事にこだわるのはこのくらいだよね。うまく言葉にはできないけれど、私たちは同意しているよね。そういう温度感を共有するために、レビューをやってきたのだと私は思っています。

ただ、チームが一人になれば、そんな共有は当然いらないわけです。自分が思ったとおりにすればいい。このようにしてレビューという文化は崩壊するだろうと思っています。

職種は越境する

もう一つは、多くの職種が横断的、越境的になるだろうということです。これはどういうことかというと、エンジニア七人くらいというチーム規模は、全員がまったく違う仕事をしていることもあるサイズです。たとえばバックエンドが三人、フロントエンドが三人。あるいはiOSが二人、Androidが二人、サーバーサイドが二人。こういう構成は十分あり得ますね。

もちろん、七人全員がバックエンドエンジニアということもあるでしょうが、その場合でも、いくつかのサービス領域を横断した形で七人ということが多いと思います。

これからは、一人の人間がこの範囲を見るようになります。当然、その一人が見る仕事は非常に多岐にわたり、越境的になる。その越境先は技術領域の中だけではなく、マーケティングやプロダクトマネジメント、アナリティクス、さらには経営といったレイヤーにはみ出していくこともあるでしょう。

取り止めのない話なので今回はここまで。

いろいろ言いましたが、これが私個人の持っている未来の展望です。そして、こういう話を人としたり、あるいは人の話を聞いたりすると、おおよそ同じ方向を向いている人が多いと感じます。なので今のところ、私はこの未来が実際に訪れるんだろうなーと思っています。